アンビリバボー 大阪府警誤認逮捕 冤罪 クレジットカード窃盗容疑者のアリバイを新米弁護士がETCやガソリンスタンドの防犯カメラの3つの時刻のずれでを証明


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大阪・堺市で防犯カメラの無いコインパーキングで車上荒しで車から現金やクレジットカードが盗難され
犯人は、そのクレジットカードでガソリンを給油し、防犯カメラから会社員健一さんが浮かび上がり
ある早朝、健一さんは容疑者として逮捕された事件・・・実は誤認逮捕による冤罪だった事が3ヶ月後証明され、その冤罪のアリバイのカギを握ったのは
3つの時刻でした。

そして、その冤罪は捜査を行った北堺署のずさんな捜査が新米弁護士によって明かされたのでした。

健一さんのアリバイにどんな3つの時刻が関係するのでしょうか?

アンビリバボー(2016年2月25日放送)では、2013年1月13日に発生した、盗難クレジットカードによる冤罪と
容疑者健一さんのアリバイを証明する事になった3つの時刻に関するアンビリバボーな証拠に迫ります。

大阪・堺市で起こった盗難クレジットカードによるガソリン窃盗容疑・どんな冤罪事件か?

時系列は以下の通りです。

2013年1月13日(日曜日)

◆5時39分:堺市西区のセルフ式ガソリンスタンド(GS)で、盗難されたクレジットカードでの支払い記録が残される
    これは、給油が終わると日付と時間が記録される仕組みだった。

◆5時42分:ガソリンスタンドの防犯カメラに給油中の男性会社員・健一(当時42歳)さん(仮名)の姿が撮らえられていた。
      健一さん夫妻と二人の娘は、スキー旅行に出かけるところでした。

操作経験の浅い若手が中心の北堺署の直轄警察隊が、この事件を担当し、
防犯カメラに写っていた健一さんを容疑者として特定。

給油が終わった時点で記録されるクレジットカードが使われた時間は未だ、健一さんは給油中だったが、
経験の浅い北堺署の直轄警察隊は捜査報告書に、"防犯カメラの時刻は3分進んでいる”と結論付ける。

2013年4月24日

会社員・健一さんは、窃盗容疑で逮捕され85日間の勾留生活を送ります。

健一さんは、ガソリン代は、現金で支払ったと主張しますが、受け入れられませんでした、

それどころか健一さんは、拘置中「あなたは普通じゃないんですよ」、
「汚れた手で子供の頭をなでられるのか」と屈辱的な発言を受けます。

2013年6月4日

大阪地検が「ガソリン窃盗容疑」で起訴、再逮捕。

健一さんの弁護は事件の1年前に登録したばかりの新米弁護士・赤堀順一郎弁護士

この事件で健一さんの弁護は事件の1年前に大阪弁護士会に登録したばかりの新米弁護士・赤堀順一郎弁護士(当時30歳・2011年に司法試験に合格)でした。
赤堀弁護士は、

否認し続けて有罪判決を受けて罪が重くなるよりは、有罪を認めてしまって刑が軽くなるならば、
罪を認めてしまって一刻も早く家族と会うほうがいいのではないか?

と言う健一さんを思い止まらせます。

健一さんのアリバイ ETC(自動料金収受システム)の記録

赤堀弁護士は奥さんの美由紀(仮名)さんから、その日、給油後、阪神高速を使ったとの証言から
ETC(自動料金収受システム)の記録を取り寄せました。

ETCのログ(履歴)には、健一さんは、5時40分通過の記録がありました。

犯行時刻の5時39分から僅か、1分しか経っていないと言う矛盾が・・・。

しかもガソリンと高速入り口の間には信号も有り、信号待ちのケースも生じます。

ずさんな捜査・給油終了からETC通過時間は、僅か1分の矛盾

セルフ式ガソリンスタンドから
阪神高速堺出入口ETCまでの距離は6.4キロメートルあり、
計算上、健一さんは、時速360キロで走行した事になる!

赤堀弁護士は、同じ条件の日曜日の朝、
健一さんの車で、ガソリンスタンド~阪神高速堺出入口まで2度走ってみたが
1分でETCを通過は不可能との確証を得ました。。

運良く信号に引っかからなくても6~7分を要するという検証結果が出たのです。

これにより、健一さんのアリバイが証明された事になりました。

ずさんな捜査 ナンバープレートの調査すら行われていなかった

さらにずさんな捜査が浮き彫りになりました。

ガソリンスタンドには、Nシステムと呼ばれる
周辺の車のナンバープレートを撮影するシステムがあったにも関わらず
ナンバープレートを確認すらしていなかった事も発覚しました。

ずさんな捜査 冤罪を証明する事になった3つの時刻

しかも給油する車のナンバーを読み取るカメラが有り、
このカメラにも時計が内蔵されており、
健一さんの車は5時41分にGSに居た事になっており、
3つの時計で時刻のズレが確認されました。

後日、ガソリンスタンド店長立ち会いのもとNTTの時報で時刻を確認したところ、
防犯カメラは8分進んでいる事が分かり、健一さんが給油した時間は、5時34分に給油した事になり
しかも、その日のその時間の売上のログには「現金取引」と記録が残っていたのです!

事件から3カ月、
・これで健一さんが犯行時刻前に給油が終わっていたアリバイと、
・現金払いだったのも証明され

 盗難カードでの給油したという健一さんの罪は、

 「冤罪」だった事が証明されたのでした。

つまり犯人は、健一さんが給油した直後に盗難カードでの給油の犯罪を実行したのでした!

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まとめ

赤堀弁護士は初公判直前の7月10日に検察側に証拠を提示。
結局、北堺署は非をみとめ
健一さんを7月17日釈放、同29日起訴を取り下げ健一さんに謝罪して
この冤罪事件は幕を閉じました。

その後、健一さんは大阪府を相手取り損害賠償を求め大阪地裁は、
国家賠償法に基づき国と大阪府に620万円の賠償命令を出しました。

植屋裁判長は判決理由で捜査のずさんさを指摘、
また捜査官の差別的発言も「男性の人格権を侵害した」と厳しく断罪しました。

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この事件に関し赤堀弁護士は

ETC履歴や販売記録の収集は本来、警察や検察がやるべきことだが、その職責すら果たしていなかった。
司法修習生でも考えられないようなミスだ。

と呆れていました。

実は、このずさんな捜査を行った捜査官は、
交番勤務のお巡りさんから出世したばかりの新米捜査官で
適性検査中の半人前の寄せ集めだったのも分かっています。

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この事件は、弁護士登録から8ヶ月しか経っていない
新米弁護士の情熱が解決に導いたのではないでしょうか?

新人であるが故、高速道路でガソリンスタンドまでかかる時間を検証した
基本通り、ガソリンスタンドでの記録を調べたりと・・・

熟練した弁護士だと、とっくに警察が、ガソリンスタンドの記録とかNシステムでナンバーを確認しての
起訴であろうと思い込んでここまでうまく健一さんのアリバイが実証されなかったのではないでしょうか?

本日は、当ブログをご覧頂き有難うございました。

※参考までに、赤堀弁護士の学歴(大学)・職歴

2008年:同志社大学法学部卒業
2011年:東京大学法科大学院
2012年:大阪弁護士会所属 65期 登録 大江橋法律事務所
2015年:さくら赤堀法律事務所設立